診療のご案内Medical Treatment
オルソケラトロジー
近視について
目に入ってきた光は、角膜や水晶体で屈折し、網膜上に焦点が結ばれることにより、モノをはっきりと見ることができます。
近視とは、角膜や水晶体の屈折力が強すぎたり、眼軸(角膜から網膜までの長さ)が長すぎることなどが原因で、網膜の手前で焦点が結ばれる状態をいいます。このため、近くははっきりと見えますが、遠くがぼやけて見えてしまいます。
近視を矯正する方法として、眼鏡やコンタクトレンズが最初に挙げられますが、視野に制限がある、激しいスポーツには適さない、取り扱いに注意が必要などの制約があり、それぞれ一長一短があります。
その他、レーシックや眼内コンタクトレンズなどの方法もありますが、これらは手術の必要があり、侵襲を伴うので完全に治療前の状態に戻すのは不可能なことや、身体的な負担があるというデメリットがあります。
オルソケラトロジー治療について
就寝時にコンタクトレンズを装用して角膜形状を変化させることで、近視進行の原因でもある眼軸長(目の奥行きの長さ)の伸長を抑制できるため、近視進行を抑制する効果が期待できると報告されています。
年齢が若いほど治療の効果が出やすく、視力が長時間維持されるといった特徴があります。
当院では、所定の定期検査を受診頂きながら、厚生労働省より認可された東レ社製オルソケラトロジーレンズ「ブレスオーコレクト®」による視力矯正を行います。事前に、必ず治療プログラムについて同意いただいた上で治療を開始いたします。
一時的に角膜を矯正する治療なので、治療を中止すると角膜はもとに戻ります。
強度近視や乱視の治療には適しません。
ハードコンタクトレンズの為、最初は異物感を感じます。
レンズ装着前
通常は光が角膜と水晶体の屈折力により、網膜上で焦点を結びますが、近視の状態である場合、網膜より手前で焦点を結ぶために像がぼやけて見えます。
レンズ装着中
オルソケラトロジーレンズを就寝時に装用することにより、特殊な内面カーブが角膜前面の形状を変化させ、扁平化することにより焦点が網膜上で結ばれ、像がはっきり見えるようになります。
レンズ脱着後
オルソケラトロジーレンズによって扁平化された角膜前面は、レンズをはずしても一定時間形状が維持されるため、日中は裸眼視力が改善されます。
オルソケラトロジー治療のメリット
治療開始初日から、ものがはっきりと見えるようになります(朝から晩まで安定した視力を維持できるようになるには約1週間ほどかかる場合があります)。
コンタクトレンズを装着するのは就寝時のみですので、日中の普段の活動は裸眼で行うことができます。仕事中にコンタクトレンズの乾燥による目の不快感を感じずに済むほか、洗顔やお化粧がしやすいというメリットもあります。また、水泳をはじめ、激しい動作を伴うスポーツをされる方にもおすすめです。
レーシックや眼内コンタクトレンズなどと比べ、手術の必要がありませんので、目にも優しく安心です。
オルソケラトロジーレンズの装用時間は5時間以上を目安としています。治療には、一定の連続した就寝時間の確保が必要です。
視力が安定した後も、にじみ、ぎらつき等の症状があるため、車やバイクの運転や機械の操作などの際は、十分に注意が必要となります。
オルソケラトロジー治療が向いている方、不向きな方
向いている方
- スポーツを行っている方
- メガネやコンタクトレンズの装用が煩わしい方
- 裸眼で過ごしたいが、外科的手術に抵抗がある方
- 眼疾患を有していない方
- 通院可能な方
- 近視度数が-1.00~-4.00Dの方
- 乱視度数が大きくない方
乱視は球面度数の1/2以下、ただし倒乱視の場合、近視度数の1/2以下かつ、-0.75D以下の方
不向きな方
- 一定の睡眠時間が取れない方
- 近視度数、乱視度数が強い方
- 職業上、常に適正な視力が必要で視力の変化があった時に業務の中止ができない方
- レーザー角膜屈折矯正手術を受けた方
- 極度に神経質な方
- 眼科専門医の指示に従うことができない方
オルソケラトロジーレンズを安全にご利用いただくために
レンズを扱う際は必ず手を洗う。
レンズに汚れや雑菌が付着すると眼障害の原因となる可能性がありますので、必ず手を洗って清潔な状態でレンズを取り扱うようにしてください。
手の爪を短く切り、先を滑らかにする。
レンズの破損や傷を防ぐために、手の爪は常に短く切って、やすりで滑らかに整えておくようにしましょう。
レンズの保存の際は専用の保存液を用いる。
レンズを保存する際に水道水やミネラルウォーターを使うと、レンズに雑菌が付着して感染症の原因となる場合がありますので、必ず専用の保存液をご利用ください。
レンズ装用中は目を強くこすったり圧迫したりしない。
レンズに傷がつく、あるいは破損や変形のおそれがあります。また、眼障害を引き起こす原因にもなるので、レンズ装用中は目を強くこすることは避けましょう。
口コミ・体験談など(外部サイト)
お子様のオルソケラトロジー治療について、口コミ・体験談などが紹介されています。
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オルソケラトロジー治療のスケジュール
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初回来院日
オルソケラトロジー治療のご説明・次回診療のご予約
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治療初日
適応検査・実際のレンズの着用・装用練習・トライアル用レンズの貸出し
1. 治療の説明を行い、治療が可能かどうか検査します。
角膜の状態を正確に測定するために、来院前にコンタクトレンズの利用を控えていただく必要があります。
(ソフトコンタクトレンズは3日以上、ハードコンタクトレンズは2週間以上、他社オルソケラトロジーレンズは1ヵ月以上)
検査結果によっては、オルソケラトロジー治療に適応しない場合もございます。2. トライアル用レンズの装用練習後、貸出しトライアル開始(1週間)
オルソケラトロジーの治療初日(適応検査・カウンセリング)は完全予約制となっております。
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1週間後
トライアル終了
- トライアル用レンズをご返却いただきます。
- 治療を決定し、レンズの注文をします。
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治療開始
注文したレンズをお渡し、治療開始となります。
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定期検査
1週間後・1ヵ月後
これ以降は3ヵ月後に一度の頻度で、定期検査を行います。
レンズの度数やカーブを変更した場合は、再度トライアルが必要になります。大切な検査ですので、気になる症状等が無くても必ず受診してください。
費用について
【重要】 8月1日より定額制プランとなりました
- 初回診療時に適応検査として通常検査を実施いたします。
- 検査後、治療適応可能であれば1週間程度の装用体験を実施します。その際に、『トライアル費用兼適応検査費用』として両眼11,000円、片眼の場合7,700円いただいております。
- 『トライアル費用兼適応検査費用』には、初回のケア用品一式(ケース、洗浄液、洗浄ジェル)が含まれます。
- 月額費用は、自動クレジット払いのみ対応しております。
収納代行委託先である【(株)シード】より毎月末日にクレジット請求および決済がされます。 - 装用開始後はオルソケラトロジー治療は自由診療ですので、保険対象外、全額自己負担となります。
両眼 | 片眼 | |
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トライアル+適応検査費用 | 11,000円 | 7,700円 |
月額費用 | 8,800円 | 5,500円 |
定額検査費用 | 0円 | 0円 |
月額:8,800円(両眼)
片眼治療の場合は月額5,500円です。
月額費用には、レンズ使用料、定期検査費用が含まれています。
定期検査費:月額内に充当されていますので、窓口でのお支払いはございません。
ケア用品は、初回以降は必要に応じて別途購入が必要となります。
ケア用品についてはこちら(PDF:3.4MB)
レンズの保証に関して
- 交換保証(処方交換・破損・汚損交換)
契約期間中、片眼につき毎年2回の無償交換 - 紛失・保証外交換
1枚につき16,500円(税込)
レンズ保証は、医師の判断により必要とされた場合に限ります。詳しくは当院までお問い合わせください。
医療費控除について
オルソケラトロジーの治療は、眼鏡やコンタクトレンズのように視力矯正ではなく、治療です。従って医療控除申請が可能です。(購入時の領収書が必要になります。)
途中解約について
オルソケラトロジーは、高度管理医療機器を使用する治療のため、クーリングオフ(契約解除)の適用外です。
注意事項
- 適応検査を受ける前に、現在コンタクトレンズを使用している場合、ソフトコンタクトでは3日以上、ハードコンタクトレンズでは2週間以上、他社のオルソケラトロジーでは1ヵ月以上前から使用を控えていただきます。
- 適応検査により、適応があると判断された方のみ治療を開始します。
- 一人でのレンズの着脱、レンズケアが難しい場合には、家族による着脱等が必要になります。
- レンズのトライアルの際は、トライアル料金を承ります。トライアル期間終了後、レンズは返却していただきます。
- オルソケラトロジーは、装用を中止すると矯正効果が得られなくなるため、毎日の就寝時装用が必要になります。
オルソケラトロジーに関してよくある質問
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近視度数の強い方や乱視が強い方は、矯正効果が出にくかったり、安定した視力が得られるまでに時間がかかることもあります。
また、レンズを外すと元の角膜形状に徐々に戻るため、視力も元に戻ってしまいます。 -
睡眠時間が十分にとれない方などは効果的な裸眼視力が出るまでに日数がかかる事があります。
また、装用の仕方や寝方によって効果に大きく差が出る場合がありますので、適切に装用するようにします。 -
オルソケラトロジー治療は近視・近視性乱視の方が対象で、遠視や強度乱視、円錐角膜等の方は適応外となります。
また、近視の方であっても、近視度数や角膜の形状によっては適応外となることもあります。 -
レンズの寿命は一般的なハードコンタクトレンズと同等ですが、レンズの取り扱い方により耐用年数に個人差がありますので、定期検査をきちんと受診して医師や眼科スタッフにレンズの状態を確認してもらうようにしてください。
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オルソケラトロジーレンズを装用中は近視が一定期間矯正されますが、装用を中止すると徐々に元の状態に戻るため、視力が回復するわけではありません。
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近視の進行には眼軸長の進展が強く影響している事がわかっています。オルソケラトロジーを装用することで眼軸長の進展抑制効果が得られ、近視進行を抑制する効果がある事が世界中で報告されています。多くの報告に基づくと2年間で30~60%程度の抑制効果が期待出来るとされています。
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1日の中で急に視力が落ちることはありません。レンズの装用を中止した場合には、個人差はありますが、数日中に徐々に見えづらくなります。
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適切にケアを行なっていれば大きなトラブルにはなりませんが、一般的なコンタクトレンズと同様、レンズケアを怠ると不具合を生じる可能性がありますので、必ず定期検査を受診し、医師の指示に従うようにしてください。
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オルソケラトロジーレンズは酸素透過性の高い素材で作れられており、装用したまま就寝することが認められています。
但し、目の健康状態を確認するためにも、必ず定期検査を受診していただきます。 -
一般的なハードコンタクトレンズと同様、当院で装用指導を行いますので、着脱に不安があれば医師や当院のスタッフまでご相談ください。
お子様が治療を受けられる場合には、保護者の方にレンズの着脱およびレンズのケア等のレンズ管理を行なっていただきます。 -
一般的なハードコンタクトレンズと同様、レンズを外した後に洗浄して保存します。適切なケアを行わないと合併症を引き起こす可能性もありますので、医師の指導のもと十分なケアを行なってください。また、ケア用品は医師が指定するものを使用し、適切なケアを行なってください。
オルソケラトロジーとマイオピン点眼の併用
近視進行には眼軸長の進展が大きく影響しています。
オルソケラトロジー単独に比べ、オルソケラトロジーとマイオピン点眼(0.01%アトロピン点眼)を併用する事に眼軸長の進展が1年間で約50%抑制されたとの報告があります。